在留資格「特定技能」の現状
2019年4月に在留資格「特定技能」が新設され、特に人手不足が深刻な14の産業分野において外国人をフルタイム雇用することが可能になりました。
これまでの在留資格では認められていなかった単純労働を含む業務に従事することが出来るようになったこともあり、特定技能に興味があるという企業も少なくないのではないでしょうか?
しかし、2019年11月現在、思うように特定技能の受入れが進んでいません。
11月13日の出入国在留管理庁(以下、入管)の発表によると、11月8日時点で特定技能の在留資格者は895人にとどまっています。今年度最大で4万7,000人の受入れを見込んでいましたが、施行から7カ月経過した現在わずか2%程度となっています。
特定技能の受入れが進まない理由として下記のような理由があげられます。
- 入管が、中小企業に対して登録支援機関を使わない特定技能の受入れを認めない
- 留学生など特定技能を申請しようとする外国人の社会保険料の未納により在留許可がおりない
- 留学生など特定技能を申請しようとする外国人が、資格外活動許可で働くことが出来る週28時間を超えて働き不法就労とり、在留許可がおりない
- 就労条件について入管の裁量により不許可となってしまう
申請手続きが複雑なことや技能評価試験の実施回数がまだ少ないこと、技能実習生からの切り替えが思うように進んでいないことも特定技能が増えない要因ではありますが、上記の理由から申請をしても許可が下りない事例や申請が出来ない事例も少なくありません。
特定技能の採用候補者に確認しておきたいこと
そこで、特定技能外国人を雇用する上で知っておくべきポイント(外国人側の要件)をご紹介します。特定技能では、法令を遵守していることが求められます。下記の3点は、重要ですが守れていないケースの多いポイントとなります。
特定技能の申請をしようとする場合、採用候補者の状況を事前に把握しておきましょう。
- 資格外活動許可の週28時間の上限を守ってアルバイトをしていること
- 国民健康保険に加入していること
- 国民年金保険に加入していること
■留学生のアルバイトの労働時間の上限について
「留学」の在留資格は、本来就労することが出来ない在留資格です。入管で資格外活動許可の申請をすることにより週28時間(※夏休み等の長期休暇期間については特例として1日8時間、週40時間まで就労が可能です)を上限に就労することが出来るようになります。ただし、風俗営業等に従事することはできません。
留学生が週28時間を超えてアルバイトをすると不法就労となります。不法就労状態の場合、特定技能への在留資格の変更が難しいため採用候補者には事前に確認しておきましょう。
なお、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は全てのアルバイト先での勤務時間の合計が週28時間を超えてはいけません。
■国民健康保険に加入していること
日本は国民皆保険制度をとっており、外国人であっても国民健康保険に加入し保険料を支払う必要があります。国民健康保険は住んでいる市町村で加入します。引っ越しをする場合は引っ越した先の市町村で加入し直す必要があります。正しく国民健康保険に加入し保険料を払っていることを確認しておきましょう。
■国民年金に加入していること
20歳以上の場合は、外国人であっても国民年金保険に加入する義務があります。加入手続きは市・区役所の窓口か最寄りの年金事務所で行います。外国人自身が加入手続きを行う必要があるため、知らずに手続きをしていないケースがあります。留学生の場合、学生の納付特例制度等を利用している場合がありますが、きちんと申請をして減免措置を受けている場合は問題ありません。
繰り返しとなりますが特定技能では法令をきちんと守っていることが重要視されています。日本に長く住んでいる日本人と異なり、知らずにルールを守れていないという外国人も少なくありません。特定技能の申請に必要な要件は他にもいくつもありますが、上記の3点については必ず確認をしておきましょう。※年金や保険料については知らずに支払っていなかった場合など、あとから支払うことや入管に理由を説明することで申請が通ることもあります。
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