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今回は日本人、外国人ともに働きやすい職場を作るために【異動、退職及び解雇①】について、解説します。
■人事異動について説明するとき
日本では、会社から一方的に人事異動の指示を受ける場合も一般的です。一方、外国ではポジションに応じて社員を採用することが多く、配置転換をするための人事異動の発令権を会社側が有していることは少ないです。
そのため、事前の説明なしに転勤等を命じられると、外国人社員にとって理解できず、離職につながるケースも考えられます(これは、転勤先が本人の母国である場合も、同様です。)。また、就業場所等で宗教上の配慮が必要な場合もあります。
人事異動については、就業規則に明記することはもちろん、外国人に対してはあらかじめ、
会社の規則に記載の事項(例えば、人事異動の発令権は会社が有しているため労働者側は基本的に異動や転勤に合意しなければならないこと等)や何年目でどのような異動や転勤があり得るのかという具体的なケースについて、丁寧に説明する必要があります。
また、自身が望むキャリアパスとは関係ない部署への異動を命じられた際に、外国人の方は混乱することもあります。日本ではジョブローテーションにより全方位的な視点が養われるという前提を持つ人も多くいますが、外国人の方は同じではありません。
また、逆に、本人が他部署への異動を希望する場合でも、在留資格の観点から、柔軟な異動が難しいケースが存在します。
この前提の違いにも注意して、異動や転勤が決まった後ではなく、入社したタイミングなどで事前説明するようにしましょう。
■休職について説明するとき
「休職」、「休暇」、「休業」は間違えやすい部分です。特に、休みの間も給料が出るかどうかはトラブルにつながる場合があります。
3つの休みの違いを説明できるようにしましょう。
<参考>モデル就業規則やさしい日本語版の記載 第9条 仕事を休んでもらうとき
(モデル就業規則について)
■退職について説明するとき
日本では、終身雇用の慣行の下で、一度入った会社で定年まで、または長期に働くことをイメージされている方も多いです。
一方、外国ではポジションに応じて社員を採用することが多く、「会社」ではなく「職」に就くという考え方のほうが一般的であるため、転職そのものの受け止め方も日本と異なります。こういった慣行の違いから、退職は最もトラブルになりやすい場面の1つです。
会社を辞めるときは何日前までに言わなければならないのか、前もって伝えておきましょう。また、雇用保険に加入している外国人は、日本人と同様に、退職後に就職活動を行う場合、雇用保険の基本手当が支払われます。
退職される外国人の中には、雇用保険などその後必要な手続きについて知らない方も多いです。
そうすると、必要な届出を行わずに雇用保険の支給や在留資格の更新等で不利益を被ってしまう場合があります。
退職する人には、退職後必要な手続きについても伝えることが望ましいです。
さらに、自己都合による退職について、何日前に申告すればよいのか申告の時期をきちんと説明しましょう。
その際、貸与物の返却手続きや業務の引き継ぎ、また後述する「脱退一時金」の受け取りの準備など、なぜ退職を事前に申告しないといけないのか、その理由も併せて本人に説明してください。
なお、退職理由について、会社では自己都合と思っていても本人が会社都合と思っているようなケースもあります。
退職の理由は、後述する雇用保険の失業給付がもらえるかどうかやもらえる期間などにも影響するため、会社と本人の考えに齟齬がないようにしておくことが大切です。
退職時のトラブルによって会社に対して思わぬ噂や評判が生じてしまうことも珍しくありません。
会社をやめるときの手続を丁寧に説明したり、会社をやめる理由について本人と齟齬がないようにしておくことは、外国人の方だけでなく、会社にとっても重要なことです。
<退職後必要な手続き>
就労目的の在留資格で働いていた外国人の方が退職したときは、「所属機関に関する届出」を、本人が地方出入国在留管理局に提出することが義務付けられています。また、在留資格にかかわらず、外国人(特別永住者を除く)が離職した際には、会社から、ハローワークに届出を行うことが必要です(雇入れの場合も必要です)。さらに、退職した本人は、会社の健康保険から国民健康保険、厚生年金から国民年金に切り替える手続きが必要です。
外国には、日本のように公的な保険制度がない国もあり、「自分は保険に入る必要はない」と考える方もいます。日本では必ず何かの保険に入る必要があ
ることや、本人を守るための保険であることも、併せて説明することが望ましいです。
また、日本国籍を有しない外国人の方が、厚生年金保険の被保険者資格を喪失して日本を出国したときは、本人からの請求に基づき、厚生年金保険の加入期間に応じた額を「脱退一時金」として受け取ることができる場合があります。脱退一時金が支給されるためには、次の7つの条件をすべて満たす必要があります。
A. 日本国籍を有していないこと
B. 日本の年金制度の被保険者でなくなったこと
C. 厚生年金保険に6か月以上加入していたこと
D. 年金の受給に必要な加入期間(通算で 10 年間)を満たしていないこと
E. 障害厚生年金等を受給したことがないこと
F. 日本に住所がなくなったこと
G. 日本を出国した後、2年以内に請求を行うこと
脱退一時金の請求手続きは、日本年金機構に対して請求書と必要書類を提出することが必要です。
保険料控除により、毎月給与から厚生年金保険料を差し引かれている場合が多く、そもそも自身が年金保険料を支払っている感覚が薄いため、一部の外国人は「脱退一時金」について「請求すればもらえるお金」である意識を持っていません。
出国後2年以内に手続きをしないと脱退一時金を受け取れる権利が消失してしまうことは、特に伝えることが望ましいですし、退職後のサポートが手厚いというのは、企業の評価を高めるポイントの1つにもなります。
ただし、脱退一時金を請求した場合、脱退一時金を請求する以前のすべての期間が厚生年金保険の加入期間ではなくなってしまいます。したがって、脱退一時金を請求するかどうかは、将来、日本の老齢年金を受け取る可能性などを考えた上で慎重に検討することが必要である旨もあわせて伝えてください。
<雇用保険の基本手当について>
雇用保険とは、会社を辞めた人が次の会社を探している間、自分で生活をするために国からお金がもらえるしくみです。
このもらえるお金を、「基本手当」といいます。基本手当は、何もしなくとももらえるわけではありません。
会社を辞めた時にもらえる「離職票」を持って、ハローワークに申し込みをするともらえます。
会社を辞める理由が、自己都合か会社都合かによって、申込をしてから基本手当がもらえるまでの期間などに違いがあります。
会社都合だと急に収入がなくなってしまうので、会社都合の方が早めに基本手当がもらえます。
外国人本人が、基本手当のことを知らずに退職してしまうと、本来はもらえるお金がもらえなくなってしまいます。
外国人の方が退職されるときには、基本手当がもらえることも伝えましょう。
退職理由はなんであれ、退職前後のこういった支援が、その企業の価値を高めることにつながります。
今回は異動、退職及び解雇①について解説しました。
外国人に説明する際は、母国語ややさしい日本語を使いながら、「なぜ職場のルールがそうなっているのか」という理由や背景も含めて説明し、理解を深めてもらうことが重要です。
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